高配当投資の税金「仕組み」をゼロから解説:なぜ税金がかかる?どう払う?
高配当投資に関心をお持ちの皆さま、こんにちは。このサイトは、高配当投資における税金やNISAなどの制度について解説しています。
高配当投資は、企業からの配当金という形で定期的な収入が期待できる点が魅力です。しかし、投資で得た利益には原則として税金がかかります。「税金について考えるのが難しそう」「何から理解すれば良いか分からない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、高配当投資にかかる税金の基本的な「仕組み」に焦点を当て、なぜ税金がかかるのか、どのような税金の種類があるのか、そしてどのように税金が計算され、納税されるのかを、投資初心者の方にも分かりやすく解説いたします。税金の仕組みを理解することは、安心して高配当投資を続けるための第一歩です。
なぜ高配当投資には税金がかかるのか?(所得の種類と課税の原則)
まず、なぜ高配当投資で税金が発生するのかについてご説明します。日本の税制度では、個人が得た所得には税金(所得税や住民税など)がかかるのが原則です。投資によって得られる利益も「所得」と見なされ、課税の対象となります。
高配当投資では、主に以下の二種類の所得が発生する可能性があります。
- 配当所得: 保有している株式や投資信託から受け取る配当金や分配金のことです。
- 譲渡所得: 保有している株式などを売却した際に発生する利益(売却価額から取得価額や手数料等を差し引いたもの)のことです。
これらの所得に対して税金がかかる、というのが基本的な仕組みです。
高配当投資にかかる主な税金の種類と税率
高配当投資から得られる配当所得や譲渡所得に対してかかる税金は、主に以下の通りです。
- 所得税: 国に納める税金です。
- 復興特別所得税: 東日本大震災からの復興財源のため、2037年まで所得税と合わせて課税される税金です。所得税額の2.1%が課されます。
- 住民税: お住まいの地方自治体に納める税金です。
これらの税金は、原則として所得の種類にかかわらず、合算で20.315%の税率が適用されます。(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
例えば、10万円の配当金を受け取った場合、約20,315円が税金として差し引かれることになります。同様に、10万円の売却益が出た場合も、約20,315円が税金としてかかります。
税金はいつ、どのように計算される?(源泉徴収の仕組み)
投資にかかる税金は、給与所得のように年末にまとめて計算・納税するイメージとは少し異なります。多くの投資家にとって、税金は利益が発生する都度、自動的に計算・差し引かれる「源泉徴収」という仕組みで納税が完結します。
源泉徴収とは?
本来、所得を得た人が自分で税金を計算して納めるのが申告納税制度ですが、特定の所得については、支払い者が所得を支払う際に予め税金を差し引き、本人に代わって税務署などに納める仕組みを「源泉徴収」といいます。
証券会社を通じて株式投資を行っている場合、配当金を受け取る際や株式を売却して利益が出た際に、証券会社が自動的に税金を計算し、受け取る金額や売却代金から差し引いてくれます。これが源泉徴収です。
特に「特定口座(源泉徴収あり)」を選択している場合、この源泉徴収の仕組みによって、原則としてご自身で税務署に申告に行く「確定申告」が不要となります。
税金はどのように納める?(源泉徴収、確定申告、申告不要制度)
高配当投資から得た所得に対する税金の納付方法は、いくつかのパターンがあります。
- 源泉徴収で納税完了: 特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、配当金や売却益から税金が差し引かれ、証券会社が代わりに納税してくれるため、個人での納税手続きは基本的に不要です。これが最も一般的な方法であり、多くの投資初心者の方にとって分かりやすい方法です。
- 確定申告で納税: 源泉徴収されていない所得(例えば、一般口座で取引し、かつ年間取引報告書が作成されない場合など)がある場合や、他の所得と合算して申告したい場合、または税金を取り戻したい場合(後述の配当控除や損益通算など)には、ご自身で税務署に確定申告書を提出し、納税や還付の手続きを行います。
- 申告不要制度: 上場株式等の配当所得については、申告をしないことを選択することも可能です。この場合、源泉徴収された税額で納税が完了します。ただし、他の所得との合計によっては不利になるケースもあるため、慎重な判断が必要です。特定口座(源泉徴収あり)の場合は、原則としてこの申告不要制度を選択したことになります。
投資初心者の方にとって、特定口座(源泉徴収あり)を選択し、源泉徴収で納税を完結させる方法が最も手続きが簡単です。
税金の負担を減らすには?(NISAなど非課税制度の活用)
投資にかかる税金は避けて通れないものですが、税金の負担を軽減し、効率よく資産形成を進めるための制度がいくつかあります。その代表的なものがNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)です。
NISAとは?
NISAは、特定の投資枠内で購入した金融商品から得られる運用益(配当金や売却益)が非課税になる制度です。通常20.315%かかる税金がゼロになります。特に新NISA制度は、非課税で保有できる期間が無期限となり、年間投資枠や生涯投資枠も大幅に拡充されました。
高配当投資をNISA口座で行えば、受け取った配当金に税金がかからず、まるごと手取りとして受け取ることができます。これは、複利効果を高め、資産増加のスピードを加速させる上で非常に強力なメリットとなります。
税金について考える際には、まずNISA制度の活用を検討することが、効率的な資産形成の第一歩と言えるでしょう。
まとめ
この記事では、高配当投資にかかる税金の基本的な仕組みについて解説しました。
- 投資で得た配当金や売却益は「所得」となり、税金がかかります。
- かかる税金は所得税、復興特別所得税、住民税で、合計税率は原則20.315%です。
- 多くの場合、税金は証券会社が自動的に差し引く「源泉徴収」によって納税が完了します。特に特定口座(源泉徴収あり)では手続きが簡単です。
- 確定申告が必要になるケースや、申告不要制度の選択肢もあります。
- NISAなどの非課税制度を活用することで、税金の負担を減らし、効率よく投資を進めることができます。
税金と聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本的な仕組みを理解すれば、決して複雑すぎるものではありません。まずはご自身の取引口座が特定口座(源泉徴収あり)になっているか確認し、源泉徴収の仕組みを理解することから始めてみてください。
さらに詳しい税金計算方法や確定申告の手順、NISAの活用方法などについては、本サイトの他の記事でも詳しく解説していますので、そちらもぜひ参考にしていただければ幸いです。